原作:古川薫
脚本:堀越真
演出:栗山民也
音楽:宮川良
共演者:鮫島有美子 風吹ジュン 吉行和子
順みつき 秋吉満ちる 尾藤イサオ 藤本孝
ほか
会場:
NHKホール
6月27日(日)〜7月2日(金)8公演
料金:S席12000円 A席9000円 B席6000円
C席 4000円 D席3000円
大阪フェスティバルホール
7月9日(金)〜7月11日(日)4公演
料金:S席10000円 A席8000円 B席5000円
福岡サンパレス
7月14日(水)・15日(木)2公演
料金:SS席10000円 S席8000円 A席5000円
B席3000円
愛知県芸術劇場大ホール
7月28日(水)・29日(木)
料金:S席12000円 A席9000円
B席 6000円 C席4000円
原作は、世界的に有名なオペラ歌手「藤原義江」の生涯を書いた「古川薫」の直木賞受賞作品「漂泊者のアリア」で、初の舞台化となります。
東京はNHKホール開館20周年記念作品として上演されました。
藤原は、明治31年、下関でイギリス人の父、ネイル・ブロディー・リードと琵琶芸者の母、坂田キクの間に生まれた孤児でした。
親戚をたらいまわしにされ、父に会いに行くも自分の子供ではないと突き帰されるなど、父母の愛情少ない少年時代を過ごしました。
大正6年に上京、ローシー歌劇団のオペラに魅せられ、歌の道に進みます。
新国劇から浅草オペラへ転身し、芸大出の歌手が幅をきかせる浅草オペラの中で、型破りの魅力でのし上がっていきます。
戦前、父の支援で欧州修業に出た藤原は、ロンドン駐在の若き外交官・吉田茂と出会い、スターへの糸口をつかみます。
また、恋多き人生でもあり、華族出身の第二の妻・あき子との、婚前の不倫騒ぎ。
戦後のプリマ砂原美智子との初老の恋など、多彩な色模様が繰り広げられます。
「西洋」をおそれ、「西洋」にあこがれる日本の大衆の求めるまま、寂しがり屋の「日本人」をおおい隠し、キザなまでにバタ臭く歌い続けた藤原義江の生涯。
ジュリーに通じるものがあるのでは…。
ともさん感想:
「漂泊者のアリア」 舞台の始まりは、喪服を着たご婦人たちが一人また一人と登場。
田舎者の私はそのシーンだけで圧倒され、鳥肌が立った。
オペラ歌手の鮫島有美子さんが目の前にいらっしゃることが信じられなかった。
藤原義江が亡くなって、悲しみにくれるご婦人たち。
重々しい空気が流れる冒頭のシーンから一転して、藤原義江の幼少時代へと移る。
子役の子がなかなか良い演技をしている。
う〜ん、でもなかなかジュリーが現れない・・・早く出てこないかしら・・・と、ちとイライラしながらも、子役の演技に胸が熱くなったりしていた。
30分くらいも経っただろうか・・・やっと、我らがジュリー登場!!
誰を演じようと、ジュリーはジュリーなのだ!が、この舞台は、妙に藤原義江とジュリーがだぶって見える。
それもそのはず、藤原義江というオペラ歌手も半端な色男ではない。
これはジュリーが演じるほかない・・・と妙に納得しながら、お話は先に進む。
今、十数年経った今、一番思い出すシーンは、妻のあき子が藤原義江を追って、イタリアまでやってくる。
ヴェスビオの山を眺めながら、義江を待つ。そこへ後ろから近づき抱きつくシーン。
いえいえ、その抱きつくシーンではなくて・・・そこへたどり着くまでの階段を上がるシーン。
その後姿が美しい!なんと言ったらいいのだろう。
よく立ち姿が美しいとか言うけれど、階段を上る時の足の運びが美しい!と私は思ったのです。
一番、印象に残ったシーン。
やはり、ラストの楽譜を投げ散らかしての熱演。
本当にジュリーが泣いていた・・・思わず、私も泣いていた。
最期はひとりぼっちだった藤原義江。(本当のところはどうだったのかわかりませんが)
そんな孤独感を演じられるのはジュリーしかいない・・・と、深く感じました。