原作: 山崎豊子(「ぼんち」新潮文庫刊)
脚本: わかぎ ゑふ
演出: マキノ ノゾミ
音楽: coba
振付: 南 流石
共演者:土居裕子 土田早苗 加納幸和 田中隆三
木下政治 野田晋市 小椋あずき 出口ルナ
佐藤 綾 原 尚子 有馬自由 山口智恵
宴堂裕子
船場の老舗足袋問屋5代目・河内屋喜久治役で主演
会場:
東京:紀伊国屋サザンシアター
日程:2008年4月3日(木)〜4月21日(月)
料金:S席8500円 A席6000円 B席4000円
神戸:新神戸オリエンタル劇場
日程:2008年4月25日(金)〜4月28日(月)
料金:S席8500円 A席6000円 B席4000円
名古屋:中日劇場
日程:2008年5月10日(土)〜5月11日(日)
料金:A席8500円 B席6000円
山崎豊子原作、「ぼんち」の舞台化。
大阪をこよなく愛する わかぎゑふ の脚本による商人の街、船場を舞台にした音楽劇
(あらすじ)
“ぼんち”(大阪弁でぼんぼんのこと)こと喜久治は、大阪船場の女系商家の五代目として生まれる。
代々、婿を取って暖簾代わりとし、家の実権を女が握ってきた家にとって、男は種を提供する存在であり、男の跡継ぎは望まれざるものだった。喜久治が5代目を襲名した後も、祖母と母に逆らう事が許されない。
喜久治は嫁を取らされるも、子が生まれると早々にその嫁は離縁させられる。
家のしきたりにそぐわない嫁は無縁だったのだ。
こんな家に嫁を入れても苦労させるだけだと諦め、喜久治は外に女を囲うことに専念する。
おきゃんな芸者に所帯じみたな女、落ち着いた女に、現代的な女…。
しかし、放蕩を重ねても、帳尻の合った遊びをするのが大阪の“ぼんち”。
古い暖簾を誇る足袋問屋の一人息子喜久治は「ぼんぼんになったらあかん、ぼんちになりや。男に騙されても女に騙されてはあかん」という死に際の父の言葉を金科玉条として生きようと決意する。
原作をしっかり読んで臨んだ舞台。喜久治さんは、本よりはかなりしっかり者のように感じました。
最後は女中のお時さんにまで手を出してしまう…はさすがにお芝居にはなかったですね。
原作と最も違うのは、一番地味な幾子さんがクローズアップされている所。
本では喜久治は愛人に対して、常に平等に規則正しく接していました。ですから、「これをお芝居にするのは難しそう」と思っていました。
お芝居では幾子さんの家で病気療養していました。病気で亡くならなければ、ひょっとして後妻として家に入っていたかも知れませんね。
ジュリー演じる喜久治さんは、情が深くて仕事熱心で、甘えん坊で泣き虫。そのどれもが愛しく思えるほど魅力的な喜久治さんでした。
マキノさんとのコンビは1作目「天国を見た男」からですが、今回のお芝居は数段よかったと思います。
共演者も皆さんとてもお上手で魅力的。歌も良い。
出来るものなら、もっと大きな会場で、4時間くらいの大作として見てみたいと思いました。そう、春団治や夫婦善哉のような。
そう思えるほど完成度が高かったと思います。
来年もごいっしょにお芝居やられるそうで、今後がとても楽しみです。